2019年02月13日

医者屋の四方山話:ある日の神島

▽ 朝、徒歩二分の所にある診療所に出勤途中、保育所に駆け昇っていく竜也君に出会いました。「おはよう。」と呼びかけると「いってきます。」と大きな声が返ってきて、その後「先生の家知っとるもん、あそこ。」と得意げに私の家を指さしてニヤッ。            
▽ 午前中のメインは月に一回は風邪をひいたとやってくるトラばあちゃん。話を聞いても診察をしてもとても風邪とは思えないけれど、ひいていると主張するので困ってしまいます。今日も薬を出す出さないで押し問答になりましたが結局はいつも通り寄り切りで私の負け。
▽ お昼になって外に出ると、いつも診療所で大泣きする小太郎ちゃんが遊んでいました。トーマスの機関車のおもちゃを持っていたので、今度来たときには泣かれないようにとちょっと時間をかけてお付き合い。コンクリートの道でゴロゴロ。
▽ 家に戻って自作のラーメンを食べている最中に玄関が開く音がしたので行ってみるピーマンが三個入った袋がポツンと置いてありました。あわてて外を見ると、ほとんど診療所には来たことがないシカばあさんの後ろ姿がちらっ。「ありがとう。」
▽ 午後、島最高齢のおじいさんと全盲のおばあさん夫婦が暮らしている家へ往診。「わしもばあさんも元気。」というものの、おばあさんはこの前ベッドから落ちて腰を痛めてしまいちょっとしかめっ面。二人とも都会にいる子供達の世話にはなりたくなくて「ずっと島におる。」とのこと、困った困った。
▽ 往診帰りに、ひなたぼっこをしている三人のおばあさんに出会いました。場所はいつもの所で、座る順番もいつもと同じ、そしていつも同じような話をしながら、みんな穏やかな表情でニコニコ挨拶をしてくれます。「あれっ、あの人町の病院でうつ病と診断されてきたはずなのに、おかしいなあ。」と思っていたら、竜也君が私の横をすっと通りすぎて振り向きざまに「ただいま。」それに答えて私は「おかえり。」    
▽ こんな平凡な毎日が淡々と過ぎていくのですが、私はいつもとても新鮮な気持ちでいることが出来ます。それは巡航船から島に降り立って島の家々を眺める時にいつも感じる「自分は、きっとこの島の人達の役に立っているのだ。」ということです。愛すべき五百人の人達の人生の流れの中に身を置いて、こんな気持ちでいられる幸せな日々が続きます。
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posted by M.OKUNO at 19:23| Comment(0) | 医者屋